障害をもつ子どもへのコロナワクチン接種に思う【発起人:黒木良和】

日本人類遺伝学会名誉会員・小児科医 黒木良和

こどもへのコロナワクチン接種勧奨を止めるようにとの趣旨で
「こどもコロナプラットフォーム」が立ち上がっている。

趣旨には全く同感で私も発起人の一人である。

長期的な安全性が確立されていないmRNAワクチンを
将来に長い人生がある子どもに性急に接種することを
勧奨するのは許されるものではない。

しかし、ダウン症候群に代表される先天的障害をもつ子どもたちが
少数ながら存在するのも事実である。
彼らは多くの内臓合併症(先天性心臓病など)をもち、
感染症に罹患しやすく、感染症での死亡リスクは
健常児に比してはるかに高い。

その為多くの感染症に対するワクチン接種が勧奨されており、
ワクチンを接種した症例でのベネフィットは広く理解され確立されている。

今回の新型コロナ感染症(COVID-19)に対しても、
ダウン症などの染色体異常はハイリスク群に分類されており、
ダウン症では年齢、性別、肥満度、認知症の有無、
家庭か施設入所か、種々の合併症の有無など、
種々の要因で補正すると、COVID-19に関連した入院リスクは
正常コントロール群に比して4倍、死亡リスクは10倍高いと報告されている。

2009年に起こった世界的な新型インフルエンザ(H1N1 flu)パンデミック時には、
ダウン症の人たちの死亡率は一般集団のそれの300倍に上ったことが記録されている。

集団におけるコロナワクチンの接種率が低いわが国の実情を考えると、
COVID-19でもダウン症など染色体異常集団での重症化率や死亡率が
かなり高くなることは容易に予測される。
幸いわが国の2大小児病院の現状ではCOVID-19罹患児が少なく、
死亡例や重症化例はない(私信)。
英国の大規模調査などでは上述のように
入院率や死亡率の増加が報じられているので、
注意深く観察する必要がある。

ワクチン接種に関しては、
ワクチンの副反応リスクと、
罹患による重症化や死亡リスク
のバランスで判断すべきと考える。

染色体異常等ではコロナワクチンのリスクを
罹患によるリスクが大きく上回るため、
ワクチン接種を強く勧奨すべきと考える。

生命の価値や人権は遺伝的質で左右されてはならないことは
ユネスコ「ヒトゲノムと人権に関する世界宣言」1998にも明記されている。

従って一般集団のこどもに対するワクチン接種と
染色体異常等に対するワクチン接種は
明確に区別しておく必要がある。

障害児者に対するワクチン接種勧奨は、
こどもコロナプラットフォームの趣旨を否定するものではなく、
両立する考えである。

最も数の多いダウン症候群に関しては
日本ダウン症学会が公式見解を出している(2011.5.27)ので
そのまとめを添付しておく。

報告する

関連記事一覧

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。